シンデレラを捕まえて
「い、意外だねえ」

「だろ? 俺も、そう思う。でもああみえて巧さんってすごく手先が器用でさ、編みぐるみだって作れるんだ」

「うそ! 見てみたい!」

「見せて下さいって言えば、喜んでみせてくれるよ。あ、でもけっこう照れ屋だからなあ、恥ずかしがるかも」


話していると、幸恵さんがトレイを抱えてやって来た。


「お待たせー。気楽自慢の海鮮パスタです」


目の前にお皿が置かれる。大きな海老やホタテがたっぷり乗ったトマトベースのパスタだった。真白のプレートにトマトの赤とバジルの緑が目に鮮やかだ。


「わー、おいしそう」

「穂波のお気に入りなのよね、これ。では、ごゆっくり」


それから、二人で食事をのんびりととった。パスタは穂波くんが気に入るのも納得するくらい美味しかったし、サービスと言って提供されたジェラートもさっぱりして口当たりが良かった。
食後のコーヒーを飲みながら、店内を窺う。レジの横に作り付けの可愛らしい棚があって、そこに雑貨が並んでいることに気が付いた。


「あれって、販売してるのかな?」

「ああ、そうだよ。二人が作った小物を売ってるんだ」

「へえ。ちょっと、見てくる」


見てみれば、そこには可愛らしいモノが溢れていた。

な、なにこれ! どれも可愛い! 欲しい!

薔薇やラベンダーが刺繍されたサシェに、野苺が刺繍されたピンクッション。リネンのクッションには小鳥が囀っていて、ドイリーレースのランチョンマットにはお揃いのコースターがついている。
そして、木で作られたカトラリーセット。
丸みを帯びた柔らかな色合いのそれらはとても私の好みだった。ベビー用の小さなスプーンには、柄の部分にイチゴの焼き印が入っていてとっても可愛らしい。

ああ、我が家のカトラリーを総替えしたい!! このランチョンマットを使って、木のスプーンを使って、朝からお洒落な朝食をとりたい!


「あ」


端っこに飾られていたネックレスに視線が向く。ドロップ型のトップに、お花とシルバーの蝶々が閉じ込められていた。光を受けてキラキラと輝くそれは目を奪われるほど可愛い。


「素敵ー……」


思わず覗き込む。どういう材質で作られているんだろう。
透明の中にチャームが浮かんでいるようにも見える。
あ、こっちのは金属の型に嵌っているんだ。アンティーク調の赤銅色の型の中に、海のように青い素材が流し込まれている。その中には金色のクジラがゆったり泳いでいて、よく見れば小さなヒトデもいた。

ネックレスの他にもキーホルダーやピアスもあって、デザインは多岐にわたっていた。うう、どれも可愛い。


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