シンデレラを捕まえて
帰りは松浦さんご夫婦に見送って頂いた。二人とも、「また来てね」と笑顔で仰ってくれた。ええ、雑貨の為にも絶対にまた寄らせてもらいます。優真さんは穂波くんに「今度工房を見学させて」とねだっていた。
「見学なら、別にいいよ」
「ほんと!? 嬉しい! 絶対だよ? 約束!」
「うん」
目に見えてご機嫌になった優真さんは、手を振って見送ってくれた。私には視線を向けてくれなかったけれど。
それから、思いの外狭かった島内の海辺を二人で散策し(海が綺麗なだけあって、海岸沿いは海水浴の人たちで溢れかえっていた)、充分満喫してから、島を離れた。
「楽しかったー」
海がオレンジ色に染まる。海辺は、たくさんいた海水浴の人々の姿も消え、閑散としている。犬の散歩をしているおじさんの影が、砂浜に長く伸びていた。
帰路の車内の中でそんな景色を眺めながら、私は息をついて言った。
「今日、すごく楽しかった。ありがとう、穂波くん」
「よかった。美羽さんが楽しんでくれたなら、それで充分」
今日は一日中、ずっと穂波くんと一緒に過ごせた。穂波くんの昔からの知り合いだという松浦さん夫妻にも会えたし、すごく充実した一日だった。
「木のカトラリー、すごく素敵だった。ああいうの、いいよね」
「本人はあんなこと言うけど、巧さんは腕がいいんだ。手先が器用だしね。積み木セットとか作らせたらすげえんだ。今でも完全受注で作ってる」
うん、納得。すごく可愛いのを作っていそうだ。
バッグの中からキーホルダーを取り出して、ほう、とため息をこぼした。
「すごいよねえ。何かを作り出せる人って、かっこいい」
「美羽さん、優真のそれすごく気に入ってるよね」
「うん。だってすごく可愛いもん。あー、やっぱりネックレスだけでも買えばよかった!」
悩んだのだ、すごく。しかしどれも可愛くて、選びきれなかった。
「ネックレス、ねえ」
「そう。革ひもで、長めのやつがすごく可愛かったの。でも、キーホルダーも欲しかったし」
「ふうん」
ひとしきりキーホルダーを愛でて、バッグに仕舞った。
「今日はホントにいい日だった。明日からまた仕事頑張れる」
「うん、頑張って。俺も頑張る」
「あ、そうだ。藤代さんのご依頼、進んでる?」
「まあね」
穂波くんは既にテーブルの製作に入っているらしい。椅子は大半が出来上がり、大塚さんが仕上げの段階に入ってくれているということだった。
「テーブルのあとは、現場に入ってカウンター作り。もしかしたらだけど、棚の依頼も追加になるかも。工房で出来ることは、大塚センセが来てくれる間に進めておきたいから、しばらくは忙しいかな」
大塚さんは、夏休みだから来れるって話だったもんね。なるほど、忙しそうだ。
と、頭の上に手のひらが乗った。
「少しだけ会えなくなるかもだけど、こまめに連絡するし、時間が取れたら会いに行くから。だからいい子に待ってて」
「……う、ん」
どうしてこの人はこういうことをさらっと言うかな。
赤面してしまったのを、夕日が隠してくれてたらいいなと思う。
頭から離れた手のひらが、私の手に触れた。きゅ、と包まれる。握り返しながら、早く仕事が落ち着きますように、と願ってしまう私だった。
「見学なら、別にいいよ」
「ほんと!? 嬉しい! 絶対だよ? 約束!」
「うん」
目に見えてご機嫌になった優真さんは、手を振って見送ってくれた。私には視線を向けてくれなかったけれど。
それから、思いの外狭かった島内の海辺を二人で散策し(海が綺麗なだけあって、海岸沿いは海水浴の人たちで溢れかえっていた)、充分満喫してから、島を離れた。
「楽しかったー」
海がオレンジ色に染まる。海辺は、たくさんいた海水浴の人々の姿も消え、閑散としている。犬の散歩をしているおじさんの影が、砂浜に長く伸びていた。
帰路の車内の中でそんな景色を眺めながら、私は息をついて言った。
「今日、すごく楽しかった。ありがとう、穂波くん」
「よかった。美羽さんが楽しんでくれたなら、それで充分」
今日は一日中、ずっと穂波くんと一緒に過ごせた。穂波くんの昔からの知り合いだという松浦さん夫妻にも会えたし、すごく充実した一日だった。
「木のカトラリー、すごく素敵だった。ああいうの、いいよね」
「本人はあんなこと言うけど、巧さんは腕がいいんだ。手先が器用だしね。積み木セットとか作らせたらすげえんだ。今でも完全受注で作ってる」
うん、納得。すごく可愛いのを作っていそうだ。
バッグの中からキーホルダーを取り出して、ほう、とため息をこぼした。
「すごいよねえ。何かを作り出せる人って、かっこいい」
「美羽さん、優真のそれすごく気に入ってるよね」
「うん。だってすごく可愛いもん。あー、やっぱりネックレスだけでも買えばよかった!」
悩んだのだ、すごく。しかしどれも可愛くて、選びきれなかった。
「ネックレス、ねえ」
「そう。革ひもで、長めのやつがすごく可愛かったの。でも、キーホルダーも欲しかったし」
「ふうん」
ひとしきりキーホルダーを愛でて、バッグに仕舞った。
「今日はホントにいい日だった。明日からまた仕事頑張れる」
「うん、頑張って。俺も頑張る」
「あ、そうだ。藤代さんのご依頼、進んでる?」
「まあね」
穂波くんは既にテーブルの製作に入っているらしい。椅子は大半が出来上がり、大塚さんが仕上げの段階に入ってくれているということだった。
「テーブルのあとは、現場に入ってカウンター作り。もしかしたらだけど、棚の依頼も追加になるかも。工房で出来ることは、大塚センセが来てくれる間に進めておきたいから、しばらくは忙しいかな」
大塚さんは、夏休みだから来れるって話だったもんね。なるほど、忙しそうだ。
と、頭の上に手のひらが乗った。
「少しだけ会えなくなるかもだけど、こまめに連絡するし、時間が取れたら会いに行くから。だからいい子に待ってて」
「……う、ん」
どうしてこの人はこういうことをさらっと言うかな。
赤面してしまったのを、夕日が隠してくれてたらいいなと思う。
頭から離れた手のひらが、私の手に触れた。きゅ、と包まれる。握り返しながら、早く仕事が落ち着きますように、と願ってしまう私だった。