シンデレラを捕まえて
「よかったー。俺、いい子がいますよー、って先に言っちゃってさ。美羽ちゃんに断られたらどうしようかと思ってたんだ」
セシルさんが大げさに胸を撫で下ろす仕草をした。それから、新たな名刺を一枚私にくれた。
「これ、社長の名刺。HPあるからチェックしておくといいよ。面接だけど、美羽ちゃんはいつが都合がいい?」
「早い方がいいですよね。明日でも大丈夫です、私」
「あ、ほんと? じゃあちょっと待ってて。連絡してくるよ」
セシルさんは携帯を片手に店外へ出て行った。わらび餅を咀嚼しながら、窓越しに電話をかけている姿を見る。
話はうまくまとまったらしい。私と目が合ったセシルさんが親指と人差し指をくっつけて、小さな丸を作ってみせた。
よかった。このまま、仕事、決まっちゃうかも。
私はさっきセシルさんから貰った名刺に視線を落とした。
『ユベデザイン㈲ 代表 遊部康介』
幾何学模様があしらわれた一風変わったデザインの名刺には、住所やHPのアドレスが書かれている。
駅二つ分のところかぁ。通勤はボンヌの時より楽だなぁ。ボンヌは四つ先だったからな。
帰ったらHPチェックしなくちゃ。
「美羽ちゃん。明日の十時にユベデザインの事務所で面接になったんだけど、いいかな?」
戻って来たセシルさんに訊かれて、頷いた。
「ありがとうございます」
「ううん。俺こそ助かったよ、ありがとう」
それからは、セシルさんのお話を聞かせてもらった。スペインまで修行に行っていた話とか、GIRASOLをオープンさせるまでの話とか、すごく面白い内容だった。
GIRASOLでは穂波くんの人気も高かったけれど、不動の人気を誇っていたのがオーナーであるセシルさんだった。
かっこよくてスタイルもよくて大人の雰囲気ダダ洩れ。そして面倒見もいいとくればまあ当然なことではある。
しかし彼の私生活とか過去はあまり知られていなくて、ちょっとした謎の人だった。
そんなセシルさんの知られざる一面は、なるほどそういう経験がこんなイケメンを生み出すのかと感嘆するばかりだった。
気付けば長い間セシルさんと話をしていて、夕方近くになってようやく私たちは別れたのだった。
セシルさんが大げさに胸を撫で下ろす仕草をした。それから、新たな名刺を一枚私にくれた。
「これ、社長の名刺。HPあるからチェックしておくといいよ。面接だけど、美羽ちゃんはいつが都合がいい?」
「早い方がいいですよね。明日でも大丈夫です、私」
「あ、ほんと? じゃあちょっと待ってて。連絡してくるよ」
セシルさんは携帯を片手に店外へ出て行った。わらび餅を咀嚼しながら、窓越しに電話をかけている姿を見る。
話はうまくまとまったらしい。私と目が合ったセシルさんが親指と人差し指をくっつけて、小さな丸を作ってみせた。
よかった。このまま、仕事、決まっちゃうかも。
私はさっきセシルさんから貰った名刺に視線を落とした。
『ユベデザイン㈲ 代表 遊部康介』
幾何学模様があしらわれた一風変わったデザインの名刺には、住所やHPのアドレスが書かれている。
駅二つ分のところかぁ。通勤はボンヌの時より楽だなぁ。ボンヌは四つ先だったからな。
帰ったらHPチェックしなくちゃ。
「美羽ちゃん。明日の十時にユベデザインの事務所で面接になったんだけど、いいかな?」
戻って来たセシルさんに訊かれて、頷いた。
「ありがとうございます」
「ううん。俺こそ助かったよ、ありがとう」
それからは、セシルさんのお話を聞かせてもらった。スペインまで修行に行っていた話とか、GIRASOLをオープンさせるまでの話とか、すごく面白い内容だった。
GIRASOLでは穂波くんの人気も高かったけれど、不動の人気を誇っていたのがオーナーであるセシルさんだった。
かっこよくてスタイルもよくて大人の雰囲気ダダ洩れ。そして面倒見もいいとくればまあ当然なことではある。
しかし彼の私生活とか過去はあまり知られていなくて、ちょっとした謎の人だった。
そんなセシルさんの知られざる一面は、なるほどそういう経験がこんなイケメンを生み出すのかと感嘆するばかりだった。
気付けば長い間セシルさんと話をしていて、夕方近くになってようやく私たちは別れたのだった。