シンデレラを捕まえて
何か、食欲失せた。

自分のデスクに戻り、ため息を一つつく。
タイミングを見計らったように、引き出しの中に入れていた携帯が震えた。


「あ……」


気分が益々沈む。メールの送り主に想像がついたからだ。

引き出しから取り出し、確認する。新着メールは四件。その全部が、比呂からだった。
内容はもう、見なくても大体の予想がついた。


『怒ってる? ごめん、本当に大事なのは美羽だって気付いたから、信じて欲しい』

『会いたい。会ってちゃんと話そう。きっと前みたいに仲良くやれるはずだよ』


ああ、ほらね。やっぱり。
目をぎゅっと閉じてため息をついた。

あの日の朝のメールを皮切りに、比呂からのメールが絶え間なく届くようになった。朝晩関係なく、休みの日と思われる日は何十通も送られてくる、復縁を迫るメール。


『もう、比呂の事を好きだと思えません。ごめんなさい、元に戻ることはできません』


そう返信しても、比呂からのメールは途絶えることなく、むしろ執拗になった。
中には、穂波くんとのことに触れるメールもあった。


『あんな奴とは別れろよ。美羽の事を幸せに出来るはずがない』

『別れられないのなら、俺から言ってやろうか』


そんなことしなくても、何もないんだけどね。
しかし、勘違いしてもらっていた方がいいのかもしれないと、それに関しては黙っている。

そう考えている間にも、もう一通比呂からのメールが届いた。

……これって、よくない状況かもしれない。

自尊心の高い比呂がここまで必死になっているなんて、おかしい。ボンヌで何かあったのだろうか、彼の心を折ってしまうような何かが。
と、またもやメールが届いた。しかしその送り主は比呂の名前ではない。もう二度と連絡などないだろうと思っていた人だった。

どうして? と訝しく思いながらメールを開く。


『――直接会ってお話しすることはできませんか?』


詳しい用件を語らないので意図が探れない。しかし、こちらとしても話を聞いたほうがいいかもしれない。
躊躇いがあったけれどメールを作成し、送信してからカラメルにスプーンを刺した。


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