シンデレラを捕まえて
そっと店内に入ると、出迎えてくれた男性が私を見て「あれ」と声を洩らした。
「美羽ちゃん、どうしたの。一人?」
「こんにちは、セシルさん」
私が来た店、それはGIRASOLだった。
「あの、ここで会う約束をしてまして」
「人? ええと穂波、じゃないよね。連絡無かったし」
「美羽ちゃん、こっち!」
店の奥で声がした。見れば、立ち上がって手を振っている人がいる。
「え? 彼女?」
セシルさんが思わずと言った風に言って、彼女と私を見比べた。
私の待ち合わせの相手は、ボンヌの総合チーフである椋田さんだった。
「すみません。待たせちゃいましたか、椋田さん」
「全然。来てくれてありがとう、美羽ちゃん」
「いえ」
昼間、私にメールをくれたのは、二度と連絡を取り合うことは無いだろうと思っていた椋田さんだった。
彼女はどういうわけだか熱心に会いたがり、その勢いに押されるようにその日のうちに会う運びになってしまったのだった。
ボンヌにほど近いGIRASOLで待ち合わせの指定をされた時には多少の抵抗があったけれど、それでも私はやって来てしまった。
店の中でも隅の、目立たないテーブルに向い合せで座った。
座り心地のよい椅子に腰を下ろし、そっと木肌を撫でる。
これ、穂波くんの作った椅子なんだよね。この間の藤代さんの依頼の椅子とは違って、少し角があるデザイン。こちらの方が好きかなあ、なんて思う。
壁に取り付けられた間接照明にも視線を投げる。木が帯状になってくるくると円を描いているような形で、帯の隙間から柔らかな灯りが漏れている。あれ、すごくかわいいんだよねえ。いつか自分の家にも飾ってみたい。
と、椋田さんが口を開いた。
「元気そうね、美羽ちゃん」
「あ、はい。椋田さんも」
ぎこちない空気が間に流れる。何から話していいものか。
「美羽ちゃん、どうしたの。一人?」
「こんにちは、セシルさん」
私が来た店、それはGIRASOLだった。
「あの、ここで会う約束をしてまして」
「人? ええと穂波、じゃないよね。連絡無かったし」
「美羽ちゃん、こっち!」
店の奥で声がした。見れば、立ち上がって手を振っている人がいる。
「え? 彼女?」
セシルさんが思わずと言った風に言って、彼女と私を見比べた。
私の待ち合わせの相手は、ボンヌの総合チーフである椋田さんだった。
「すみません。待たせちゃいましたか、椋田さん」
「全然。来てくれてありがとう、美羽ちゃん」
「いえ」
昼間、私にメールをくれたのは、二度と連絡を取り合うことは無いだろうと思っていた椋田さんだった。
彼女はどういうわけだか熱心に会いたがり、その勢いに押されるようにその日のうちに会う運びになってしまったのだった。
ボンヌにほど近いGIRASOLで待ち合わせの指定をされた時には多少の抵抗があったけれど、それでも私はやって来てしまった。
店の中でも隅の、目立たないテーブルに向い合せで座った。
座り心地のよい椅子に腰を下ろし、そっと木肌を撫でる。
これ、穂波くんの作った椅子なんだよね。この間の藤代さんの依頼の椅子とは違って、少し角があるデザイン。こちらの方が好きかなあ、なんて思う。
壁に取り付けられた間接照明にも視線を投げる。木が帯状になってくるくると円を描いているような形で、帯の隙間から柔らかな灯りが漏れている。あれ、すごくかわいいんだよねえ。いつか自分の家にも飾ってみたい。
と、椋田さんが口を開いた。
「元気そうね、美羽ちゃん」
「あ、はい。椋田さんも」
ぎこちない空気が間に流れる。何から話していいものか。