MOONLIGHT
将は、何故か上機嫌だった。
いつもより早い時間の夕飯の、将特製スパイシーカレーを頬張りながら、将を上目遣いで見る。
「ん?辛いか?」
確かに辛いけど…。
辛いかと聞く、その表情は甘過ぎなんだけど…。
「いや、何か将・・・機嫌よくない?」
そう聞くと、将の表情が崩れた。
人気イケメン俳優の顔じゃないよ、それ。
まあ、プライベートだからいいけど。
「だって、公にレイは俺のものだって言えたし、レイが俺の事を好きだって思った視点も、俺がそう思われてスゲー嬉しい事だったし。」
早々に福神漬けだけを食べてしまった私のお皿に、追加を入れてくれながら答える将は、本当に上機嫌だ。
「だけど、あの記者の人…垣本さんだっけ、あんまりそれに関しては納得してなかったみたいだけど?」
「あー、あの人かー。まあ、俺とは全く価値観が違うし。悪い人じゃないけどな…。」
そうか、価値観の問題か。
だけど、ふとさっき思ったことを、あえて将に伝えようという気になったのは、ちょっとした好奇心からだった。
この上なく上機嫌な将を、もっと上機嫌にしたらどうなるんだろう――と。
だから。
「ねぇ、将?」
「ん?」
「昨日、私の心を見せてくれよ、って言ったでしょ?」
「うん。」
「もっと、見たい?」
そう言うと、将が顔を上げた。
キラキラした目で、私を見つめる。
「いつだって、どこだって、どんな心でも、見たい。レイのことなら、全部。」
う…。
予想以上の甘過ぎる言葉が…。
「そんな、大袈裟なもんじゃないけど。将、私の事、ヒーローって言ったけど、私やっぱりヒーローになんかなれないよ。」
「え?」
「…何か思ったの。」
「何を?」
「いや…もし、今日の垣本さんが具合が悪くなっても…。私助ける気持ちになるかな、って。だって…垣本さん、絶対に将の事が…好きでしょ?」
途中から恥ずかしくなって、しどろもどろの口調になったけど、最後まで言えた。
すると。
ガタン――
いきなり、将が立ち上がった。
え?
いきなり私のところまでやってくると、私を抱き上げ、近くのソファーに押し倒した。
ええっ!?
何っ!?何なのっ!?
「はあ・・・レイ。普段はクールな癖に、そんな可愛いこと急にいいだすなんて、俺を誘ってる?」
そう言う将の顔は、上機嫌を通り越して、気持ちの悪いニヤケ顔になっていた。