MOONLIGHT




将は、何故か上機嫌だった。

いつもより早い時間の夕飯の、将特製スパイシーカレーを頬張りながら、将を上目遣いで見る。


「ん?辛いか?」


確かに辛いけど…。

辛いかと聞く、その表情は甘過ぎなんだけど…。


「いや、何か将・・・機嫌よくない?」


そう聞くと、将の表情が崩れた。

人気イケメン俳優の顔じゃないよ、それ。

まあ、プライベートだからいいけど。


「だって、公にレイは俺のものだって言えたし、レイが俺の事を好きだって思った視点も、俺がそう思われてスゲー嬉しい事だったし。」


早々に福神漬けだけを食べてしまった私のお皿に、追加を入れてくれながら答える将は、本当に上機嫌だ。


「だけど、あの記者の人…垣本さんだっけ、あんまりそれに関しては納得してなかったみたいだけど?」

「あー、あの人かー。まあ、俺とは全く価値観が違うし。悪い人じゃないけどな…。」


そうか、価値観の問題か。

だけど、ふとさっき思ったことを、あえて将に伝えようという気になったのは、ちょっとした好奇心からだった。

この上なく上機嫌な将を、もっと上機嫌にしたらどうなるんだろう――と。

だから。


「ねぇ、将?」

「ん?」

「昨日、私の心を見せてくれよ、って言ったでしょ?」

「うん。」

「もっと、見たい?」


そう言うと、将が顔を上げた。

キラキラした目で、私を見つめる。


「いつだって、どこだって、どんな心でも、見たい。レイのことなら、全部。」


う…。

予想以上の甘過ぎる言葉が…。


「そんな、大袈裟なもんじゃないけど。将、私の事、ヒーローって言ったけど、私やっぱりヒーローになんかなれないよ。」

「え?」

「…何か思ったの。」

「何を?」

「いや…もし、今日の垣本さんが具合が悪くなっても…。私助ける気持ちになるかな、って。だって…垣本さん、絶対に将の事が…好きでしょ?」


途中から恥ずかしくなって、しどろもどろの口調になったけど、最後まで言えた。

すると。


ガタン――


いきなり、将が立ち上がった。


え?


いきなり私のところまでやってくると、私を抱き上げ、近くのソファーに押し倒した。


ええっ!?

何っ!?何なのっ!?


「はあ・・・レイ。普段はクールな癖に、そんな可愛いこと急にいいだすなんて、俺を誘ってる?」


そう言う将の顔は、上機嫌を通り越して、気持ちの悪いニヤケ顔になっていた。






< 126 / 173 >

この作品をシェア

pagetop