MOONLIGHT
「瀬野さーん。3社取材の方がみえてますけどー。私と瀬野さんのツーショットでっていわれたんですけどー。」
甘く可愛らしい声で、水沢が言う。
咄嗟に、将の腕から逃れた。
丁度よかった、取材ならこのまま楽屋から出られる。
と思ったのは甘かったらしい。
「あ、夕真さん!ベリー・Bさんも見えたんですか?」
「うわ、ラッキー!」
「あれ、そちらの方は…モデルさんですか?」
雑誌社の記者がワラワラとこっちへ来てしまった。
「レイ、ベベのモデルの件OKしたんだって?」
耳元で将が聞いてきた。
べべから連絡があったそうだ。
頷くと、じゃあもういいな、と将が言った。
もういい、ってなんのことと聞こうとしたけどその前に。
将が再び私の腰を抱いた。
「俺の婚約者です。」
な、何だとっ。
何で今言う?
驚いていたら、既に記者達に取り囲まれていた。
「うわ、美人ですねー。」
「夕真さんと、並ばれても引けをとらない完璧なスタイルですね、お医者さんって聞きましたが、モデルさんなんじゃ?」
「あれ?そのドレス、ベリー・Bのですか?何か雰囲気違いますけど、夕真さんのドレスとおそろいですか?」
つぎつぎと質問が飛び交う中、ベリー・Bがニヤリと笑った。
「あのね、実はね…「すみません、今は本番前で、この舞台の取材に雑誌社の方がみえたんですよね?だったら、取材を進めてください。私は今日は将の舞台を見に来ただけですから。」
このままでは、将の舞台の取材が私とベリー・Bの話題になってしまう。
将がここまで頑張ってきたのに、取材を横取りするなんて嫌だ。
私は将に、タバコ吸ってくる、と言って部屋を出ようとした。
「レイ、タバコ吸ったら戻ってきて。まだ来たばっかりで話もしてないだろ?」
キャラを作ったハスキーボイスが、後ろから聞こえてきた。