MOONLIGHT
「あ、あのッ…はぁはぁ…。」
汗だくの、エバラがパニック状態になりながら声をかけてきた。
「夫人は、大丈夫です。それと出血はひどかったけど、しっかり止血したので水沢さんも大丈夫です。貴方がバカにした鎌倉学院大学の学生たちが心をもって、助けようと力を合わせた結果です。今までの認識をどうぞ改めてください。それと、貴方狭心症ではないですか?今ニトロお持ちですか?直ぐに服用して下さい。悪いけど、伴君たち様子見ていてくれる?もし様子が変わらないなら病院へ連れてきて。S総合病院。今は、救急車乗れないから。」
そう言って、私は夫人に付き添った。
出口で、何故か拍手が沸き起こった。
え?
何?
周りを見回すと、皆がこちらを見ている。
ああ、人助けを褒めているのか。
そんなこと…。
「拍手なんて必要ないです!私たちは医者として、医者を志す者として、当然の事をしただけですから!」
そう言って、胸を張った国井さんに、伴君、友田君、湯浅君は皆、同じように輝いていた。
血があちこちついて、ネクタイもなく、よれよれの皆、ブランドのなれの果てのスーツ姿だったけれども。
って、私もそうか。
思わず、クスリと笑いがこみ上げた。
店を出て救急車に乗り、ふと見上げた夜空には、麗しい月がでていた。