MOONLIGHT



「よかった、大変なことがあったのに、レイが喜んでくれて。俺にはそれが一番嬉しい。」


可愛いこというな。

そんな、可愛いこと言うやつにはご褒美だ。


「ねぇ、ケーキの前に、お風呂一緒にはいろうか?お風呂沸かして待ってたんだ。」


そう言うと、将の顔が輝いた。

ここのお風呂は、ホテルなのに珍しく温度設定ができる。







将が髪も体も全部洗ってくれて、2人湯船につかった。


浴槽に面して大きな窓。

最上階だから、外からは見えない。

素晴らしい夜景。


そして、月――


「ねぇ、照明消さない?」

「え?」

「月がでてるから。」

「……ああ、そうだな。」


優しい顔で将が頬笑み、照明を消した。


「ほぼ、半月だね。」


私が呟くと、将が笑った。


「ほぼ、って…笑える。」

「だって、ああいう月を何て言うのか知らないし。将はしってるの?」

「……『ほぼ、半月』ってことにしておこう。」


2人でクスクス笑う。


「本当に、月明かり…ムーンライトだね?」

「ああ、今日の月はとても綺麗だ。まさに、『麗しい月』だな…。」


タイムリーな言葉が将の口から出た。

ムーンライトのおかげでいつもより素直になれるかも…将なら、今の私の気持ち、わかってくれるかな?

そう思い、口を開いた。


「ねぇ、将。」

「ん?」

「私、今日月を見て、初めて『麗しい』って心から思った。」


私がいきなり真面目な口調で話始めたことで、何か気持を伝えたいということがわかったのかもしれない。

将が、私を向かい合わせで膝の上に座らせた。


「その話、ききたい。レイの心の中見せて?」


甘いハスキーボイス。

それだけで、私をリラックスさせてくれる。

私は頷いた。


「今日、救急車で病院へ向かっている途中、窓から空を見上げたの。そしたら、月が出ていて…とても、麗しい、って思ったの。その気持ちって、うまく言い表せないんだけど。美しくて、神聖で、尊くて、嬉しくて、泣きたくなるような、幸せだーって叫びたくなるような…そんな気持ちで、多分人を助けることができたことと、学生たちの志が嬉しかったのもあるし…ああ、麗しい月だなって…かみしめる様に、胸に抱きしめたくなる様にそんな風に抱いた気持だった。」

「うん。」

「……それで、前に私の名前の字の話しをしたでしょ?」




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