MOONLIGHT



オサムと過ごす日々は楽しかった。


実家が自由が丘で入院設備のある、内科の病院を経営していて。

一人っこだから、後を継がないといけなくて。

だけど本人は迷いがあるようだった。

本当はイベント企画の仕事をしたいようだった。

だから、あまり学校の成績も芳しくなくて、テスト前はいつもうちに泊まりに来て、一緒に勉強をした。

大学院へ進む試験勉強も、卒論も、国家試験も出来る限り手伝った。

国家試験は2年遅れで合格した。

どうにか母校の大学に医師として、就職して1年半。

突然。

彼の父親が亡くなった。

自動車事故だった。



実家の病院をどうするか。

通夜の席で、オサムに頭を下げられた。

結婚して、一緒に病院を手伝ってほしい。

私は、直ぐに了解の返事をした。


オサムが好きだったから。

困っているオサムを助けたかったから。


その当時、大学の研究室でリーダーとして進めている研究があった。

その前に発表した論文の仮説が注目を浴びていて、大学を挙げて、研究をバックアップしてもらっていた。

だけど。

迷わず、オサムを選んだ。


大畑先生は激怒し、周りにも大変な迷惑をかけたけれど。


でも。

後悔はしていない。


こんな結果になったけれど。

強がり、とかじゃなくて。

いや、ちょっとは強がりかもしれないけれども。


だからって、あの時。

オサムを選ばなかったら、後悔したと思うから。


気になって、気になって。

仕方がなかっただろうし。




本当に、好きだったから。




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