MOONLIGHT
「城田先生、3番にお電話です。」
クスクス笑いながら、看護師の三田さんが私の顔を見た。
夜、7時。
そろそろ、帰ろうかと思っていた頃。
はあ。
またか。
「お待たせ致しました、城田です。」
『あー、レイ先生ー。お疲れー。』
「戸田さん、どうされました?少しは痩せられました?先日言いましたように、このまま食生活を改善しないと、また心筋梗塞になりますよ?それに、体に負担がかかって、他にも弊害がでますし。」
私が、息つく暇もなく話し出すと、三田さんがクスクス笑う。
『ひー、恐ろしいこといわないでよー。もう、仕事は終わりだよね?明日休みだよね?じゃあ、第3駐車場にきてね、待ってるからっ。』
気づいた時には、電話は切れていた。
はあ。
ヤられた。
また、連れ出されるのか…。
戸田は、何が気に入ったのか、私をちょくちょく食事に連れ出す。
まあ、2人じゃなくて、家族と一緒にだったり、瀬野将と一緒にだったりだけど。
がっくり項垂れて、帰るため更衣室へ向かった。
戸田は、ここら辺では権力者で、この病院の理事にもなっていた。
そのため、理事長にも戸田の一件は感謝され、懇意にするよういわれている。
懇意に、って、これ以上懇意にするつもりはないし。
だけど、私のスケジュールは全て把握され・・・。
はあ、面倒だ。
第3駐車場につくと、後ろから、声をかけられた。
「城田先生、質問があるんですが。」
3年の学生だった。
え、こんな暗い所で?
訝しく思っていたら。
「レイ!早く乗れ!」
前方の車がライトをアップし、こちらを照らした。
逆光で見えないけど、瀬野将の声。
車から降り、シルエットだけが見える。
でも、いつもの瀬野将じゃない。
何て言うか・・・纏う雰囲気と声が、悪そうな感じ。
背も高いし。
威圧感がでていて、いかにも強そうで。
質問、と言っていた学生は、ビクリ、として。
「す、すみませんっ。明日でいいですっ。」
そう言って、あとずさりしだした。
「ごめんなさい。3年の伴君だよね?明日聞くから。」
慌てて去っていく彼に、声をかけた。