MOONLIGHT
イタリアの何とか、っていうスポーツカー。
我慢できなくて窓を開ける。
「ちょっと、高速で窓をあけるなよ!」
瀬野将にもっともな注意をされた。
だけど、タバコ吸いたい。
戸田のせいで、仕事後の一服も出来ず、なぜか瀬野将の車に乗せられて、高速へ。
はあ。
ため息をつくと、ガムを出された。
まあ、ないよりましか。
ミント味。
嫌いじゃない。
「呑んべぇだから、甘いものより、ミント味の方がいいと思って。」
一言、余計だ。
「お気遣いありがとう。」
クスクス笑う、瀬野将。
だけど、急に真面目な顔になる。
「なあ、いつもそんな格好してるのか?」
私を横目でチラリとみた。
ああ、服のことか。
「いや。今日はたまたま、夜、約束があったから、これ着てきただけ。いつもは着ない。それに、今日だって仕事中は上下白衣だったし。」
「約束?」
「ああ、だけど向こうに用事が出来て、キャンセルになったから。」
「それって、男?」
「まあ、そうだな。」
「ふーん。」
「……。」
何だよ、この微妙な間は。
自分から振っといて。
はあ。
面倒くさい。
タバコ吸いたい。
「なあ、気をつけた方が、いいぞ。」
「…ああ、さっきの学生?」
「レイのあとつけて、きたんだ、あいつ。」
「うん、あんな所で、質問って、おかしいもんね。でも、3年の伴君って、名前言ったから、怯んだと思うし。でも、まぁ、気を付ける。ありがとう。」
「…なんか、馴れてるな。ああいうヤツに。」
「あー、バイトしてたときに、たまにあったし。」
「バイト?…モデル、とか?」
びっくりした。
「なんで?わかるの?」
私が、そう聞くと。
は?という顔をされた。
「まあ、今までも色々思ったけど、その服。ベリーBの服、素人がそんな風に着こなせるはずないだろ?」
ああ、この服か。
典幸の趣味なんだよね。
いらないって言っても、新作が出ると送ってくる。
まあ、気を使って典子って、名前で。
「あー、でも、モデルって言っても、スーパーのチラシとか、パチンコ屋の開店のコンパニオンとかだよ?」
「は?レイなら雑誌とか、CMとかきただろ?」
「だって、そんなの平日に仕事だし、拘束時間長いし。」
そう言ったら、吹き出された。