MOONLIGHT



すごーく、大きなお屋敷についた。

車のまま中に入ると、運転手付の外車ばかり停まっていた。


「何?ここ?」

「飲み会会場。」


わけがわからない。

黙ってついていくと。

広い玄関。

凄い数の靴が並んでいる。

ごめんくださいもなく、勝手にずかずかと上がり込む、瀬野将。


「ちょ、いいの?」


あまりの図々しさに、瀬野将の袖を引っ張った。


「いいんだよ。」


そう言われ、手をとられた。

え?

え?

え?


手を繋がれて、長い廊下を歩く。

胸がドキドキしている。

循環器内科の医者として、自分の状況がどういうものかと、いやでもわかる。


はあ。

もう、ほっといて欲しい。

もう、研究に没頭したい。


ドアの前につき、中に入ると。

歓声が上がった。


な、何?


「あー、やっと来た!レイちゃーん!」


戸田…さっきまで、レイ先生っていってただろ。

何か、あっという間に取り囲まれた。


「初めましてー。会いたかった!噂のレイちゃん!もう、戸田ちゃんから、毎日のように話きいてるのー。あっ、戸田ちゃん助けてくれてありがとうねー。」


突然話しかけてきたのは、信じられない人だった。

青山夕真。

世界的なトップモデル。

一流ブランド、ベリーB…あ、今日は私も着てるけど…の専属モデル。

女優もして、歌も歌って。

とにかく、大スター…と典幸が常々熱弁している、典幸の永遠のアイドル。

今は、日本で一番大きな流派の華道の次期家元と結婚していて、お姫様のように暮らしているとか。

これも、典幸情報だけど。


「え?青山夕真さん?」


びっくりした。

本当に。


「そうでーす!」


右手をあげてる。

はっきり言って、滅茶苦茶可愛い。

典幸がメロメロになるはずだ。

………あっ、典幸!

そうだ!


「す、すみません、サインいただけますか?」


そう言ったら、部屋中の人がドッ、と笑った。


「ふふ、いいですよー。」


気さくな人だ。

手帳とボールペンを渡す。


「すみません、典幸へって書いてもらえますか?辞典の典に、幸せで、典幸です。」


とりあえず、ゲットして頭を下げる。


「俺のことは知らないのに、夕真ちゃんは知ってるんだ?で、典幸って、誰?」


拗ねたような声が、聞こえた。


瀬野将・・・。







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