MOONLIGHT
「え…。の、典幸は、夕真さんの昔からの大フアンで…。私の…おさな、なじみって、いうか…。」
「へえ、その服着て、今日会う予定だった人?」
まあ、そうだけど。
何か、瀬野将の纏う雰囲気が黒い…。
仕方がなく頷くと、また部屋中の人が騒ぎ出した。
「将くーん、ライバルか?」
「頑張れ、将!」
「今度こそ、実らせろ!」
ヤジが凄いんだけど。
何なの、ここ。
何か外観と違って、完全に居酒屋状態だし。
「ねー、レイちゃん、ベリーBの服よく似合ってるね?いつも着ているの?」
夕真さんが突然話しかけてきた。
「いや、全然。今日は用事があったからたまたまです。」
「でも、それ新作で、まだ日本に入ってきてないよね?」
そうなの?
「いや、よくわかりません。貰ったものなんで。」
「え?プレゼント!?うそ、それ結構するよ?」
「おー、将!ヤバイんとちゃうかー?」
ゲラゲラ笑う、関西弁のおじさん。
やけに陽気で、滑舌がいい。
なんか、アクが強そうだな、ここにいる人達。
「ええっ!?ムッシューを、スルー?」
スタイルのいい綺麗な女の人が、私を指差して立ち上がった。
何なの?
「志摩ちゃん、煩い。レイは俺の職業を、一流店のナンバーワンホストって、言うぐらいだから、ムッシューさんスルーでも、さわがないで。」
疲れた様に、瀬野将がしゃべると、またドッ、と部屋中の人が笑った。
「スゲー。」
「何者ー?」
という声がするが。
もう。
面倒になった。
はっきり言って、どうでもいい・・・それよりも!
タバコ吸いたい。
タバコ吸いたい。
タバコ吸いたい。
瀬野将が沢山の人に質問攻めにあっている。
私は、そっと立ち上がった。
ちょうど近くを通りかかったお酒を運ぶ、50代の柔らかな感じの男の人に、お手洗いを聞いた。
「ろ、ろうか、をっ、つきあたり、までいって、み、み、右っ、ですっ。」
きつ音を気にせず、丁寧に教えてくれた。
多分、脳の発音の部分に障害があるんだろう。
わたしは、丁寧にお礼を言って、部屋を出た。
手洗いを終えると、丁度、庭に出られる場所があった。
都合よく、サンダルもある。
ホッ、として庭に下りた。
「レイちゃん、ちょっとお話していい?」
立て続けにタバコを2本根元まで吸い、ようやく余裕で3本目に火をつけたところで声がかかった。
夕真さんだ。