MOONLIGHT
何で、瀬野将を事務長が知ってるんだ?
不思議に思ったんだけど、瀬野将は驚く様子もなく、こんにちは、とにこやかに挨拶をした。
え、知り合い?
私がキョトンとしていたら、隣の北村さんが、小さな声で耳打ちしてくれた。
「瀬野君、3年くらい前に六本木でナンバーワンホストだったの。華八木翔(はなやぎしょう)って源氏名で。」
え、じゃあ、もしかして事務長前にお客さんで会ったことがあるのかも。
そうか…と納得したんだけど、何故か瀬野将が吹き出していた。
何で?
北村さんは何故か瀬野将に目配せをしてるし…?
「ああ、将君は個人的にとても親しくて…戸田さんともとても親しいんです。だから健康診断を将君も一緒にどうかな、って言っていたところなんです。で、そちらの北村さんはうちの師範で、戸田さんのところの幹部の方です。なにかと鎌倉では世話役をされていて。ああ、ご主人は『料亭 きたむら』のオーナーでしたね?」
と、にこやかに話す青山さん。
って、えええええっ、北村さんって、あの超高級料亭の…ご主人がオーナー?
確かに品はとってもいいけど、気さくなおばちゃんだよ?
だって、100円ショップで買ってきたクッキーを掃除のおばあちゃんと食べて、おばあちゃんの好きな韓流スターの話をきいてあげていたら、いつのまにか北村さんも交じって熱く語ってたけど?
しかも、100円クッキー美味しそうに食べてたし。
「そういうことでしたら、結構ですわ。でも、病院関係者の方は…。」
事務長がチラリと私と神田先輩を見た。
すると、戸田がニコニコしながら口を開いた。
「いやー、世間って狭いよなー?実は、世間話をしてたら、ここの医局長が中川院長先生をよく知ってるっていうんで、話を聞くのに同席してもらったんだけどー。あ、何か…城田先生も知り合いだって、医局長がいってるけど、中川事務長そうなんですか?」
戸田、何爆弾発言してんの?
もう、驚き過ぎて頭が回らない。
オサムは目が泳いでるし…。
だけど、さすがだ、事務長。
「いえ、まったく存じませんわ。」
うわ…きっぱり、言いきった…。