MOONLIGHT
「へぇ、そりゃぁ、おかしな話ですね中川君。俺は、2年前に城田先生と君に会って、結婚の報告を受けて、婚姻届の保証人にもなったはずだけど?」
神田先輩が口を開いた。
何故かさわやかな口調だ。
こういう時は、あんまり機嫌がよくない。
「………。」
オサムが黙り込んだ。
「何をおっしゃってるんでしょうか?息子には嫁がちゃんといるんですよ?なのに、他の人と結婚できるわけないでしょう?もちろん息子は初婚ですし。いいがかりもいい加減にしてください!」
勝ち誇ったような、事務長。
あーあ、こんな形で知られたくなかった。
だけど、あれ?
驚いてるのって、瀬野将だけ?
「言いがかり?へえ…そうですか?それと、さっき、城田先生の事をご存じないっておっしゃってましたけど、2年間中川クリニックで勤務してた事実がありますよね?」
神田先輩が続けるけど、もういいよ…今更。
「そう言う事実はございません。」
悲しくなってきた…そこまで否定されると、私の2年間はなんだったんだろう…。
「たしかに…そうですね。帳簿上は、城田先生が務めて見えた事実は記載されてませんねー。」
突然今まで話さなかった、森村さんが何かのコピーを見ながら話しだした。
「な、なんですかっ?それっ!?」
事務長が顔色を変えた。
「ああ、そちらのクリニックのご担当の佐藤会計事務所の所長と私懇意でしてね?弁護士を連れて事情を話したら、お宅のクリニックの帳簿をコピーしてくださいましてね?確かに人件費に中川レイさんはおろか、城田レイさんの箇所はないんですよね…。」
「だから、その方を存じませんっていっています。」
ピシャリ、と事務長。
はあ…。
ため息をついたら、突然隣の北村さんが立ち上がって、事務長の前に出た。
「人でなしっ。あんなに身を粉にして、働いていた城田先生を何だと思っているんですかっ!!私しってるんです!!城田先生が、ずっと病院に無休で寝泊りしていた時に、院長先生がゴルフ三昧だったこと!!私、その時はお二人がご夫婦だって知らなかったんですけど、今の話を聞いたら酷すぎます!!完全に結婚詐欺です!!」
ぶちぎれた、ド迫力の北村さんに、固まる事務長。
「北村さんは、坂井さんの娘さんで、いつもお見舞いに見えてたんです。」
そう付け加えたら、真っ青になった。