MOONLIGHT



「はあ。もう、思い出したくもない…美景さんがレイが高校2年の時に亡くなって、戸籍がレイと別で…レイが私生児だって気がついて、ぶちギレて。1人で暮らすって言い張って。お兄ちゃん、って呼んでくれなくなって…。で、あんなに動物が好きだったのに、急に医者になるって言い出して。医者は夜勤や長時間の手術があって、きつい仕事だから止めておけ、って言ったのに聞かなくて。俺が頑張ってもK大にもはいれなかったのに、あっさりT大医学部受かるし。親父が物凄く心配して、毎月生活費を振り込んでたら…いらない、って言うし。いつの間にか、奨学金もらってるし。で、あげくの果てには…。」


そこで、典幸はため息をついて頭を抱えた。

もう、まだ根に持ってるし。

本当にしつこい男だ。


「「何?どうしたの?」」


楽しそうな顔で、その先を聞きたがる戸田と北村さん。

なんかこの2人って、気が合うよね。


先を急かされて、またため息をつく典幸。

ああ、もう鬱陶しいっ。


「いらない、って言ってるのに、これだけは譲れないってあの頑固ジジイがいうから、月々100万の仕送り、6年分まとめて、国家試験合格した時に返したの。7千2百万。」

「「「「ええーっ!?」」」」


爆笑3人プラス瀬野将が絶叫した。

またまた、典幸がため息をついた。


「その返し方が、最悪で…。」

「え?最悪って?何、何、何!?」


北村さん、食い付きすぎ。


「…葉山クリスタルの通販商品注文して、その振込先に、7千2百万振り込んできた。」

「ええっ!?」


青山さんが、顔をしかめて声を上げた。


「帳簿上、処理できないって、困り果ててたあの時の金か?」


青山さん、典幸とかなり親しいんだ。

少し安心した。

典幸みたいな、ボンボン社長、ちょっと心配だったけど。

こういう、腹黒い人が身内同然の仲でいるっていうのは心強い。

まあ、夕真さんがいるから、典幸は絶対に青山さんを裏切らないっていうこともこの人わかって付き合ってるんだろうけど。


まあ、一番敵に回したくない人だし。




< 64 / 173 >

この作品をシェア

pagetop