MOONLIGHT
北村さんが帰ってから。
弁慶も待ってるし、私達も帰ろうかということになった。
「ああそうだ。レイ…意地張ってないで、一度親父に連絡してやってくれよ。もう、泣いてばっかりで、面倒なんだよ。それに、将君のこと紹介しろよ。」
典幸が眉毛をさげながら、そう言った。
「あの人には関係ない。」
まだ、心のどこかにわだかまりのある私は、典幸のいう通りになれない。
典幸はため息をついて、首をふった。
そして、突然恐ろしい事を言った。
「そうだ、今回の事は、親父に全部報告したから。」
「え?」
「自由が丘で代々医者の家系ってことで、納得してたのが、失敗だったって、頭を抱えてた。仕返しはきっちりするって言ってたぞ?多分、各地にお触れがまわって、医者はもうできないだろうなー。あー、だけど、最愛の娘をこんな風に騙したんだから、まあ、それだけじゃ済まないけどな。森村さんと、連絡とりあってたし。」
そ、そんなの…。
「そんなのっ、ダメっ!典幸、止めさせて!」
典幸に詰め寄る。
だけど。
「レイ。自分で、きちんと気持ちを話して、親父を止めろ。」
典幸は引かない。
「……。」
「早くしないと、手遅れになるぞ?」
ああっ、もうっ。
私は立ち上がった。
瀬野将が私の手をとる。
「俺も行く。挨拶して、レイを嫁に下さいってお願いする。」
私がどう答えようと、瀬野将は、意志が堅そうだ。
私は、瀬野将の手を強く握って、気持ちを伝えた。
「瀬野将がヤクザでも、好きだから、頑固ジジイに私、ちゃんと紹介する!」
私なりに、瀬野将へのきちんとした気持ちを伝えたのに。
何で?
何で、戸田、典幸、青山さんが爆笑?
瀬野将は、ガックリうなだれてるし。
「面白いから、気がつくまでほおっておいたけど。いくらなんでも俺も限界だし。これから、マジに結婚の話をするのに、話がややこしくなるから、言うけど。俺、本物のヤクザでも、ホストでもないから。」
「え?」
「…俳優。芝居やってる。ドラマとか、映画とか、舞台にでてる。」
想定外の内容の、カミングアウト。
頭が、ついていかない。
「じゃあ、あの、DVDっ!『オネエへの道』は、趣味じゃなくて、仕事用だったのっ!?」
「はっ!?」
…敢えて触れなかったけど、やっぱり、私的に結構気にしていたらしい。