MOONLIGHT


頑固ジジイは私の言葉にもめげず、私の膝に座る弁慶に笑いかけた。


「随分、美人さんだなー。」


すると、弁慶が尻尾をパタパタっとふった。


「え?」


頑固ジジイが弁慶の頭を撫でる。


「レイは、昔から動物が好きだったなー。人と接することがなかなか素直にできなくて…動物だとそれができる。獣医になるって言っていたから、美景が亡くなった後、急に医者になるっていいだして、とても心配した。本当は優しい子なのに、不器用で。医者なんて人間同士のつきあいだから、やっていけるのかって心配だった。だけど、やっぱりお前は優しい子だ。人を助ける、という目的があれば、どうすればいいかちゃんとできる。中川には腹が立って仕方がないが、お前にとってこの2年はいい経験だったと思う。それに、その経験があったからこそ将君と出会えたんだろう?」


ムカつくけど、全くその通りで。

つい、口が尖る。


「じゃあ、オサムの件は…「それと、これとは話が別だ。」


今までの、柔らかい口調とはうってかわって、頑固ジジイは硬い声を出した。


「そんな…。」

「心をもって接したお前に酷い仕打ちをしたんだ、それなりの責任はとってもらう。」


ピシャリ、と言い放った。

だから、頑固ジジイっていうんだよ。


「今更、父親面しないで。」

「レイが何て言おうが、レイは俺の最愛の娘だよ。」


急にそんなこと、優しい顔でいうから…。

心が、グニャリ、とした。

ダメだ。

こんなことじゃ。


私は、頑固ジジイを正面から見据えた。


「わかった、じゃあ、本当にあんたとはこれっきりだから。もう、二度と会わないから。」


そう言って、立ちあがろうとしたけど。

突然瀬野将にグイッ、と腕を引かれ弁慶ごと瀬野将の膝の上に座ってしまった。

後ろから抱きすくめられる形で…。



・・・瀬野将の、セクシーな香り。




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