MOONLIGHT
9、もう1つの愛情の確認



大号泣の、頑固ジジ…いや、お父さんと典幸をどうにかなだめ、瀬野将と弁慶とで帰宅した。

瀬野将は、お父さんと典幸にきちんと挨拶をして車に乗った瞬間から、やけに甘い空気を醸し出した。



部屋に戻り、靴を脱ごうとした瞬間、キス攻撃をうけた。

それはもう、激しいやつを。


「ん…ぅ…んん……。」


息が、できない…。

思いっきり、瀬野将の胸を押して抵抗をした。

でも、離してくれない…。

ち、窒息する…。


と、その時。


「ヴゥーーーーー、わんっ!!!(怒)」


弁慶が私たちの足元で、イラついた様子で、吠えた。

その声で、ようやく瀬野将の唇が離れた。


「はあ、はぁ、はぁ…。」


乱れた息を整えようと思うのだけれど、離れたのは唇だけで。

体はぎゅうっと、抱きしめられたまま。


「ごめん、ガッつきすぎた。我慢できなくて…かっこ悪いな…こんなはずじゃないのに…。」


瀬野将の、かすれた余裕のない声。

余裕のないのは、私の方だ。

セクシーな香りと、瀬野将の熱い体、甘い声にくらくらする…。

もう、このまま…と思ったのだけれど。


「わんっ!!!(大怒)」


不機嫌Maxで弁慶が睨んでる。

瀬野将を。


「はあ…餌か…。」


瀬野将がそう言って、がっくりと肩を落とすと、私の体を離した。



私たちも夕食を食べていなかったので、ピザのデリバリーを頼んだ。

その間にサッと交替でシャワーを浴びた。

私がシャワーを出て、リビングに行くと既にピザが届いていた。






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