MOONLIGHT
ピザを食べ終わると、瀬野将が少し寒いけどと、前置きをしてバルコニーに誘った。
丁度、タバコが吸いたかったので私はフリースを着こんで、ビールとタバコを持ち窓を開けた。
元気よく、弁慶が飛び出す。
タバコをくわえながら、ふと空を見ると。
今日は月が綺麗だ。
それだけで-――
何となく、元気が出る。
「レイ……好きだ。」
瀬野将の、甘い声。
突然、後ろから抱きすくめられ、慌てる。
「瀬野将っ、私タバコ吸ってるから…。」
タバコが瀬野将に触れないように、慌てる。
瀬野将が、慌てた私をフッ、と笑うと。
テラスにある白い椅子に私を座らせ・・・そしてその前に、瀬野将が跪いた。
「順番が逆になっちゃったけど、ちゃんとプロポーズしたい……城田レイさん、一生大切にします。俺と結婚して下さい。」
飾りっけもない、そのままの気持ちのプロポーズだった。
だから私も、ストレートに。
「はい、宜しくお願いします。」
そう答えた。
すると、一瞬。
瀬野将が俯き、肩が震えた。
そして、一言。
「スゲー、スゲー……。嬉しい………。」
その姿は、いつもの余裕の瀬野将ではなくて。
無邪気に喜ぶ姿は。
少し、幼く見えた。
だから、可愛くて。
何となく言ってしまった。
「じゃあ、誓いのキスしようよ。」