当て馬ならし
「姫さんの腕がこんなになったらいかんから、
 さっさと帰ってこよう」
と鍛え抜かれた二の腕を
一人が見せて力こぶを作ると、
みんな一斉に二の腕に
力こぶを作って見せ始める
それで「これはいかん」、
「さすがにこれはやりすぎだ」
「アル王子より強くなられては
 いかんしなぁ」
などと口々に言って笑う。

「代わりの誰かが来れるよう
 言ってみす」と言ってくれたから
「みんなが居ないのは淋しいけど、
 一人でも大丈夫よ?
 もういい大人ですからね?」
と力こぶを私も作ってみる。
それは兵士のモノとは
比べ物にならないくらい貧弱だった

彼らは最後は笑い通しで、
朝稽古を終えて去っていく。

その魔物退治はきっと
彼らには朝飯前のことだろうが
無事に帰ってきてほしいと思った
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