Special to me
『分かった。それだけ真子が晃樹くんのことが好きなら、晃樹くんのこと、俺に任せてもらえないだろうか』
「え?」

『彼は今、壁にぶち当たっているんだよ。それを破らないと真子とは間違いなく結ばれない。でも破り方が分からないでいる』

私はジュン兄が何を言っているのかさっぱり分からなかった。

『晃樹くんは、宗岡駅で働いているんだよな?』
「うん」
『分かった』

そう言って立ち上がり、私の頭を撫でながら、

『心配するな。お前は何も変わる必要はない。晃樹くんはむしろ今そのままの真子を望んでいるんだから』

ジュン兄は、何を考えているのだろう。

晃樹の"壁"をまるで理解できているようだ。

私には、全く分からない。

ジュン兄が部屋を出て行ってから、私は晃樹のことを全く分かっていなかったのだと、そのままベッドに体を沈めて落ち込んだ。
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