ウェディングドレスと6月の雨
 高田さんはそれまでリズミカルに動かしていた手を止めた。そして私を見る、眉を寄せて。


「何? 穂積の肩を持つの?」
「いえ……」
「何の説明もなく遅刻する奴を庇うの、それは自分もそうだと認める発言になるから止めなよな」
「はい…」


 そう返事をすると高田さんは再びテーブルを拭き始めた。私は何をムキになってるのか。穂積さんの悪口を言われて、何を否定しているのか。

 
 会議の開始時刻になっても穂積さんは現れなかった。プレゼンする本人抜きで会議は進む。またか、という冷笑と苛つきの空気が室内を満たす。各部門から他社の新機種の動向や動きが順に発表され、会議中盤のところで穂積さんはやってきた。無愛想に入ってきて、奪うように私から資料を取る。無言で席に着く。そして発表された内容を資料に書き留めていく。その横顔を私は見ていた。週末は何をしていたんだろう……。


< 141 / 246 >

この作品をシェア

pagetop