ウェディングドレスと6月の雨
「穂積さん、コーヒーです」
「ああ」
受け取る穂積さんの指に触れた。そんな小さなことでも反応してしまう。恥ずかしくて私は自分の分を注ぐフリですぐにコーヒーメーカーのところへ戻る。
「アンタ」
呼び止められて振り返った。
「はい」
穂積さんは髪をかきあげて。
「コンペ……」
「コンペ、ですか?」
「コンペが終わったら、また、付き合ってくれないか?」
「はい。何に、ですか?」
コーヒーを啜り、ふう、と息を吐く。私は次の言葉を待つけれど、穂積さんは躊躇っていて。
「……海」
「海、ですか?」
「研修施設のところの海」
穂積さんはまたコーヒーを啜って黙り込む。
「……分かりました」
そう返事をすると、穂積さんは呟くように、ああ、と言った。