ウェディングドレスと6月の雨
すごく緊張しているのに、すごく暖かい。そして切なくて胸が痛い。
「穂積さん」
「何」
「私、いつもいっぱいいっぱいで」
「ああ」
私は恐る恐る、自分の手を穂積さんの背中に回した。シャツを掴む。ぎゅうっと。
「穂積さんの小さなことにも反応して、かき乱されて。こんなこと初めてで」
「俺もだ」
「え……?」
私は思わず穂積さんを見上げた。でも見えるのは穂積さんの肩だけ。
「俺こそ、いつも余裕がない」
「穂積さん……?」
「本当はもっと、ゆっくり進めるつもりだった。成瀬が神辺さんを気にしてるのは分かってたことだし。ゆっくり歩んでゆっくり関係を作って、それからでも遅くないって。俺の背中に神辺さんが見えなくなるまで待って、2人だけで向き合えるようになったら成瀬を抱こうと思ってた。でも駄目だった。成瀬が高田と仲良さそうに話してるのを見るだけで嫉妬して……」
穂積さんは抱き締めていた腕を緩めた。そして私との間に距離を作り、見上げていた視界に今度は穂積さんの顔が入ってくる。