エンビィ 【完】




「そのことね……百瀬が選んでくれたドレスが台無しになっちゃったわ」


「…怪我は?」


「伊織様が助けてくれたから、大丈夫よ」


「たすけた?……伊織様がですか?」




目をぐわっとあけ、吃驚しつつも、百瀬は腑に落ちないと言いだけに、聞き返してくる。

あたしはそれに「そうよ」と返し、




「ねえ、どうかしら?このドレスは?」



百瀬に意見を求めた。


なのに百瀬は、

上の空といったかんじで「よくお似合いで」といつも通りに呟いた。



選んだのは、

白に近いクリーム色のドレス。



百瀬が選んでくれたのが白だということもあるけれど、ユキノと対照的な色にしたかった。スパンコールを散りばめたミニドレスは、可愛い。




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