エンビィ 【完】




「貢物って…」


「まあ、言いたいことは分かる」



ぴしゃりと遮った伊織。

どうやら、ユキノが貢がれていることが不満らしい。



あたしとしても不思議だ。


金持ちのユキノが、なんだって貢がれているのか。あのユキノが貢ぐほうにまわるとは思えないけれど……貢がれるのは可笑しい。




「“アレ”に貢ぐのは多い」



最後のクローゼットを開き、




「男女問わず」



伊織のほうを向けば、外を眺めながら煙草を吸っていた。



窓に反射するその顔は、

あたしにとって、いやユキノ以外に、どんなに冷酷だろうと、

やっぱり綺麗でしかない。




「……ねえ」



―――それにしても。




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