ガラスの靴じゃないけれど


「キッチンに現れた若葉の姿を見た時、グッジョブ俺。って思った」

執拗に私の太ももに指を滑らせる彼の姿を見ていたら、その意味をようやく理解することができた。

「響さん!もしかして...」

「ああ。ウエアのパンツを用意しておかなかったのはわざとだ。しかし太ももが露わになった若葉の姿って、そそられるな」

「もう!響さんの意地悪!」

握り拳を作って反撃を試みたものの、彼は私の手首を楽々と掴む。

「さて。腹もいっぱいになったし、な?若葉?いいだろ?」

彼の『いいだろ?』の意味を瞬時に理解したけれど、すぐに頷くことなどできない。

だって今はまだ午前九時。こんな時間からあんなことやこんなことをするなんて、想像できない。

「そ、そうだ!響さん!お客さんに出す移転のお知らせの宛名書きを手伝います!ね?」

彼はフゥと大袈裟にため息を付くと、首を左右に振った。

「若葉。今日はクリスマスだ。ふたりだけの時間を楽しもう。な?」

耳元で甘く囁かれたら、もうNOとは言えない。

俯きながら頷けば、身体がふわりと浮かび上がった。


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