ガラスの靴じゃないけれど


「心配掛けてごめんなさい」

眼鏡の奥の望月さんの眼差しはとても優しくて、私を大切に想ってくれていると実感することができた。

「望月さん。相変わらず忙しそうですけど、身体は大丈夫ですか?」

「ああ。大丈夫だよ。若葉が心配してくれて嬉しいよ」

望月さんと私が出会ったのは二ケ月前。

付き合い始めたのは、たった一ケ月前のこと。

望月さんの仕事が忙しいからデートをしたことはないし、キスだってまだ一度しかしていない。

身体が触れ合いそうな距離で意識してしまったことは、望月さんとの二度目のキスだった。

「若葉とデートしたいけれどプロジェクトが落ち着くまで無理かもしれないな。寂しい思いをさせてごめん」

「い、いえ」

「その代りと言うのもあれだけど...若葉。目を瞑って」

毛先を弄んでいた望月さんの指先が、私の後頭部に滑るように移動していく。

二度目のキスを意識していたのは自分だけじゃなかったことが嬉しくて、私はゆっくりと瞳を閉じた。


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