泣き虫王子と哀願少女


「それが……」

「うんうん、なになに?」

「抱きしめられた……」

「ふむふむ、抱きしめられたっと。……えっ……? えぇ~っっ!? 抱きしめられた~っっ!?」



驚きのあまり、明里が口をあんぐりと開けたまま大きな瞳をパチパチとさせている。



「えっ?えっ? なんでっ!? 何その急展開!」

「そんなの、私だってわかんないよっ」

「でも好きとか言われたわけじゃないんでしょ!?」

「うん、言われてない」

「じゃあ本当に突然?」

「うん。本当に突然……」



2人して目を見合わせて、更に瞬きを激しく繰り返す。



「だってそもそも、潤君はリカちゃんと付き合ってるとばかり思ってたし」

「うんうん。そうだよね。だったら普通彼女の方を抱きしめるよね」

「だよね……」



複雑な顔をする私に「ねぇもしかして」と、名探偵張りに明里が顎を指でさすりながら口を開いた。

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