泣き虫王子と哀願少女
「あの日俺は、ここでニャン太に餌やってたんだよ。そしたら、ニャン太がいきなり激しく鳴き出してさ」
「うんうん」
ニャン太の頭をわしゃわしゃと撫でながら潤君が話を続ける。
「いきなり駆け出したかと思ったら、ついて来いって言ってるみてーに鳴きながら俺のこと振り返んだよ。んで、半信半疑でニャン太について行ったら、数学準備室からお前の声がしたってわけ」
「ニャン太が……」
そうか。だからあの時潤君は、あんな誰も通りかからないような場所にもかかわらずやって来たのか。
思いもよらない真実に、ビックリして再びニャン太を見つめる。
そんな私の驚きなど知りもしないニャン太は、相変わらず納豆に夢中でかぶりついていた。