アキと私〜茜色の約束〜

「秋人‼︎まさか試合に戻るつもり?」


居ても立ってもいられず、二人の元に駆け寄ると、秋人は目を見開いた。


「茜?」

「もうやめて。無理だよ、もう…」

「たかが捻挫だ。こんなの、なんともない」

「嘘‼︎足のこと、知ってるんだから」

「っっ」


なんで知ってるんだ、と言わんばかりに驚きで言葉にならない様子の秋人。

それはそうだ。
秋人は私がこの前、アキの病室で足の話を盗み聞きしていたことに気付いていない。

多分、私が聞かなかったら、足の怪我のことを私に話すつもりはなかったんだろう。


「これ以上無理したら、バスケ出来なくなるよ…ううん、もしかしたら、歩けなくなるかもしれないんだよ」

「俺は負けらんねぇんだよ」

「でもっ、」

「アキと約束したんだ!」


秋人の悲痛な声が、廊下に響いた。

アキとの約束。
アキの夢。

それが、限界を達した秋人の足を、今もなお動かし続ける原動力なんだ…


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