アキと私〜茜色の約束〜

「負けたら、もう一生口きいてやんないからね」

「…なら、絶対負けらんねぇな」


一間を置いて、ふっ、と笑うと、秋人は照れを隠すようにボソッと「サンキュ」と呟いた。


「これでよしっと」


テーピングを巻き終え、「出来たよ」と顔を上げた瞬間。

トン、トントン…

勢いよく抱き寄せられて、手に持っていたテーピングが落ちた。


「あ、秋人…?」


感じる秋人の温もり。
秋人の腕の強さと、胸の鼓動。
汗の匂い。

そして、涙混じりの切ない低い声。


「なぁ、茜。俺のそばに…いてくれよ…ずっと」


そう言った秋人の背中が震えていて。

どうしようもなく、秋人を愛おしいと、思った。




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