天国への切符
「真優、お母さんは?」
だけど、おばあちゃんは帰ってきてすぐに、あたしにそう聞いた。
一瞬、耳を疑った。
お母さんは?って…今日何のために帰ってきたのかも分かってないの?
「…冗談やめてよ」
つぶやくように言葉を返すと、おばあちゃんは不思議そうに家の中を見渡していた。
「変な子だねえ」
そして、言いながらあちらこちらと歩き回る。
「ばあちゃんのことは気にするな。な?」
お父さんはあたしにそう言うと、おばあちゃんの行動を黙って見ているだけだった。
あんなに泣いていたのに。
あんなに悲しんでいたのに。
ほんの数日前のことが分からないなんて信じられない。
でも、羨ましいと思った。
悲しみも涙したことも、忘れられるなんて…
なんてラクなんだろうって…そんなことを思ってしまう自分がいた。