天国への切符



あたしは泣きながら立ち上がり、お母さんの目の前に立った。



「…っ…ごめんね…お母さんっ…」



言いながら、お母さんに抱きついた。



「ずっと良い子でいられなくて…っ…ごめんね…いつもワガママばっかり言って…ごめんね…っ…」



ずっと言えなかった。



「心配ばっかかけて…あたし…自分のことばっかりで…っ…お母さんの気持ち…なんにも考えてあげられなくて…」


ちゃんと言えないまま、サヨナラした。



「優しさに甘えてた……ずっとずっと愛されてたことも…っ…守られてたことも……いつの間にか忘れちゃって…お母さんが病気で苦しんでたことにも気付いてあげられなくて…っ…ごめんね……ごめんねっ…」




生きていた時に、どうしてちゃんと言えなかったんだろう。

どうして気付けなかったんだろう。



傷つけたまま、お母さんを天国へいかせてしまった。



「…っ…ごめんね…お母さん…本当にごめんね…」



どうしてもっと素直になれなかったのかな。


ねぇお母さん…



「16年前の…今日…っ…あたしを生んでくれて…ありがとう……」



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