彼の命日。
制服のまま、部屋を出てリビングの前を通り過ぎた。
リビングには光が灯っていないのは、いつもの事だ。
「ののちゃーん?」
玄関先でこのかに呼ばれて光の無いリビングを横目に、私は余計な事を考えるのは辞めた。
「ののちゃん行こう!!」
「…うん。」
既に靴を履いていたこのかは、もう待ちきれないというように私の手を引いた。
このかはまだ子供だな…なんて思いながら、靴のかかとを踏みつぶした。
「…このか…」
「…ん?」
呼び止めた私を不思議に思ったのか、このかが振り返る。
「…なんでもない。行こうか。」
「ごめんね。」その一言は、まだ言えなかった。
変わりに繋いだ手に力を込めて私は笑った。