純愛は似合わない
箱から中身を取り出して、要らない段ボールをたたんで荷造り用のヒモで束ねる。
実に単純で実に重労働。
入社当時は、この中途半端にお嬢様くさい容姿のせいで、こういう作業は敬遠すると思われていたようで。
心優しい先輩社員に遠回しに頼まれた時には、苦笑したのを覚えている。
そしていつの間にか備品庫の整理は、私の担当のように振り分けられていた。
ただ、最近は私自身の仕事量も多くなり、後輩達にここの整理を任せていたのだが。
黙々と片付けることに専念していると、備品庫の扉がギィと音を立て、革靴のカツカツ音がこちらに向かってやって来た。
「成瀬さん」
聞き覚えのある声にゲンナリした。
作業の手を止めるのも面倒臭くて、背中を向けたまま、返事を返した。
「……なんです? 瀬戸課長」
「可愛い顔をこっちに向けてくれないなんて、ツレナイね」
笑いを含んだ声が、思ったよりも近くから聞こえたことに驚いて振り返る、と。
課長は膝を付いて作業をしている私の背後にしゃがみ込んでいた。
「差し入れ。紅茶飲む?」
「……なんか恐いんですけど」
さっきのふりかけといい、タイミングが良すぎなのだ。
「ハハハ。僕の愛を恐いだなんて、成瀬さんらしいね」
「そのミルクティだけ頂いておきます」
残業して疲れている時だけ飲んでいる、このミルクティを買ってきてくれたのは、偶然なのだろうか。