純愛は似合わない
「ううん。10月末からまた忙しいけど、このひと月はそうでもないかな。イレギュラーな仕事さえ無ければだけどね」

「じゃ、来週辺りどう?今回は 腹黒悪魔も入れてやるか」

私の提案にローストビーフを頬張ったままの
里沙が頷く。

「……あんた、いつからハムスターになったのよ。食べるのは良いけど、ちゃんと高松さんみたいに交流しなさいよ。それが懇親会の目的ってね」

彼女はフォークに一欠片のローストビーフを刺して、私の口元へと差し出した。

「早紀も食べてみてよ。立食なのに、こんなに美味しいなんて」

私の小言をモノともせず、料理を称賛する里沙。

手前味噌に聞こえるかもしれないが、 確かにここの料理は美味しい。今までパーティー形式の料理で美味しいと思える食事にありつけたのは、まだ数えるほどだ。

私は里沙のローストビーフを口にした。

「……美味し」

でしょ? と里沙は、まるで自分の手柄のように得意気に笑う。

その屈託のない表情に他の人間が癒されてるって、あんたは気付いてないでしょうね。

「でも、あんまり食べ過ぎると、後から出てくるデザート食べられなくなるわよ」

「デザート? わぁ、期待出来そうだよね」

甘いものに目がない里沙が、ニンマリとした時、 グラスを持った営業課の賑やかトリオが私達の前に立った 。

「成瀬さん、僕達も話しに混ぜてよ」
< 77 / 120 >

この作品をシェア

pagetop