豹変彼氏~ドラマティックに愛されて~


「失礼します」
ゆうみは深く頭を下げると、光恵と輝に背を向けた。


歩いて行く彼女の後ろ姿は、お人形というようりもまるで戦士だ。


「ミツさん、何があったの?」
輝が訊ねる。


光恵はあわてて首を振った。


孝志の側に歩み寄ったゆうみは、照れながら、でもうれしそうに話しかけている。
孝志もゆうみの頭を撫でて、満足そうな笑みを浮かべていた。


ふと孝志が顔をあげ、光恵と目が合う。
昨日のことが甦った。


どうしてあんなことしたの?
懐かしく、感傷的になったって、そういうことなの?


ひどい男。


ゆうみに腕を引っ張られ、孝志の視線が光恵からはずれる。
光恵は静かにうつむいた。


「ミツさん……」
輝の探るような声が聞こえた。光恵は無言で首を振る。


とにかくわたしを放っておいて。
お願いだから。

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