豹変彼氏~ドラマティックに愛されて~
この一件で、また劇団内に微妙な空気が流れた。
言ってみれば、ここにいる役者は、すべてライバル。ゆうみが舞台をものにした姿は、劇団員達の、彼女をアイドル女優だと思うことで保っていた自尊心を、傷つけるのに十分だった。
孝志とゆうみの二人は、やはり自分たちと立場が違うのだ。
それも圧倒的に。
「よし、今日は、息抜きだ。みんなで飲みにいくぞ」
この不協和音をなんとかしようと、三池が皆に提案した。
「ミツ、行こう。 ゆうみのお陰で、大きな改訂もなくなったし、暇だろ?」
帰り支度をしていた光恵に、三池が言った。
「あの……」
できれば帰りたかった。あの二人の姿をみるのに疲れていたし、とにかく気持ちを整理する時間が欲しかった。
「ミツさん、行こう」
輝が誘う。
「俺が側にいるから、大丈夫」
その言葉を聞いて、三池が「おや?」という顔をした。それから意味ありげににやりと笑い、「ミツ、今日は、みんなで行くことに意味があるんだ。協力してくれ」と加えた。
光恵はそれを聞いて、しぶしぶ「はい」と答える。
またしんどい夜になりそうだ。