豹変彼氏~ドラマティックに愛されて~
孝志が黙っていると、光恵は深く溜息をついた。
「なんか、疲れた。とにかく、いろんなことに、疲れちゃった。放っておいてくれると、すごくうれしいんだけど」
光恵が言った。
「ミツ、野島のこと、好きなの?」
孝志は思い切って訊ねた。
光恵が黙る。
『ちがう』って、なんで言わない???
「野島が、ミツとキスしたって、言ってたから。本気で付き合うのかと思って」
「……」
「ミツ……」
「それ、孝志に関係ある? 放っておいてって言ってるのに。っていうか、なんで輝くん、そんな話を」
「今日の昼に、みんなに騒がれて、自分で言ってた」
光恵はあぜんとした表情になり、それから「どいつもこいつも」とつぶやいた。
「ミツ、仕事やめるの?」
「……なんで?」
「塾講師の仕事に本腰入れるって聞いた」
「……ほんと、あの劇団の、どいつもこいつも……。わたしがいない間に、なんでわたしの話をするわけ?」
「きっと愛されてるから」
孝志は明るく言ったが、光恵の気分は一向にあがらない。
「辞めるかどうか、まだ決めてない」
光恵が言った。
「辞めなくてもいいと思うけど。ミツの本、面白いよ」
孝志が言うと、光恵は「ひとごとだと思って……」と言う。
「今の仕事に理解がある人と、結婚すればいいじゃないか。夫がちゃんと稼いでいれば問題ないだろう?」