豹変彼氏~ドラマティックに愛されて~
「は?」
光恵の眉間に皺が寄った。
「なんで結婚の話なんか」
「みんな言ってたから。ミツは適齢期だから、いろいろ考えるだろうって」
光恵がみるみる怒りだすのが、瞳の色でわかった。
あ、致命的な失敗、しちゃったかも。
孝志の背中に冷や汗が流れた。
「ホント、何しにきたの?」
光恵の声が冷たい。
「有名俳優様。そりゃご自分は成功していらっしゃって、人生の不安なんてないでしょうけど。不安だらけのわたしに、気軽にアドバイス? 失礼にもほどがある。今すぐ帰って」
光恵が頭で玄関を示す。
孝志は動けない。これで帰ってしまっては、来た意味がない。
光恵は立ち上がって、孝志の腕を引っ張った。「もう、帰って! なんなのよ一体。わたしの暮らしにずかずか入り込んで来て……」
孝志は突然立ち上がる。
ひるむ光恵。
そのまま光恵を壁に押し付けた。
「なっ」
光恵から驚きの声が漏れる。
彼女の顎を持って、ぐっと顔を近づけた。
石けんの香り。肌の温かさ。
「ミツが大切だから、ここに来たんだ。
ミツにキスしたいって思うから、キスをする。
それじゃ駄目な訳?」