豹変彼氏~ドラマティックに愛されて~
孝志は腕の力を抜くと、光恵の頬に手を添えた。
それからそっと、顔を寄せる。
光恵は思わず目を閉じた。
孝志の唇が光恵の唇に触れ、それから……。
「へっ」
光恵は思わず声をあげた。
孝志の目が、一瞬で孝志に戻る。
「へ? ミツ、そんな台詞ないよ」
光恵は目を見開いて、孝志を凝視した。
「ミツ……」
「へた」
光恵は言った。
「は? へた?」
「キスが下手」
光恵がそういうと、孝志は驚愕の表情を浮かべた。それから「やっぱり……」とつぶやく。がっくりと肩を落として、力なく倒れ込んだ。
「何も、あんなに、ぎゅうってむやみに押し付けなくても。鼻がぶつかって、潰れちゃった」
光恵は心臓が猛スピードで動いているのを悟られないように、冷静を装ってそう言った。
「……」
「構えすぎじゃない? いつも通りにすればいいんだよ」
「いつも通りって?」
「だから、いつも女の子とキスするときみたいに……」
「……」
孝志は固まったまま、再び白い壁を凝視し始めた。