豹変彼氏~ドラマティックに愛されて~


「た、孝志?」
光恵は孝志のただならぬ様子に、ちょっと心配になる。どうしたっていうんだ。


「だって、したことないもん」
孝志が、ごくごく、小さな声でそう言った。


「は?」
光恵は首を傾げる。


孝志は口をへの字にすると、光恵に向かって「だって、キスしたことないんだよーーー」と叫び、再び床につっぷした。


「……嘘でしょ?」
「……」
「だって、もう27歳だし」
「……」
「ちょっと……」
光恵は孝志の肩にそっと手を置いた。


「俺、女の子と付き合ったことない」
孝志は床にむかって、もごもとと告白した。


「ええ!!!???」
光恵は驚きでひっくり返った。文字通り、ひっくり返ったのだ。


「こっち出てくるまで、すごい太ってたから、女の子からは見向きもされなかったし。痩せてもすぐに太っちゃうから、そんな機会なんかなかったんだもん」


言われてみれば、孝志に彼女がいるという噂は、一度も聞いたことがない。


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