豹変彼氏~ドラマティックに愛されて~
「ううううう」
孝志はうめくような声をあげている。
泣いてるの?
「ど、どうするの? この台本、これからベッドシーンだよ」
「……だから、手順とか、相手のどこに手を置いたらいいのか、とか……さっぱり分かんなくて」
「そうだね……」
光恵は不憫に思ったが、なんだかちょっと笑えてきた。その気配を感じたのか、孝志はキッと顔を上げた。
「ミツ、笑うな!」
「ごめんごめん」
「こっちは死活問題なんだぞ!」
「だよね」
「ちくしょー、デブの深刻な悩みを馬鹿にして!」
「馬鹿にしてないって」
「だって爆笑してるじゃないか!」
「してないって……あはははははは」
光恵は堪えきれず、笑い出してしまった。
「俺のビッグシークレットを、ミツにだから教えたのに」
孝志は頬を膨らませた。
「やっぱり、練習しかない。そうだ、練習だ!!!」
孝志はそういうと、台本を手に取る。
「続き、ミツ!」
孝志は笑い転げる光恵の腕を引っ張った。
「やだって」
光恵はとたんに我に返った。