13年目のやさしい願い
「だけどね、ハル」
「……はい」
「何も別のクラスにしろなんて、言うことないだろ!?」
「……え? 言ってないよ?」
カナが疑わしげな顔でわたしを見る。
こんなに怒ったカナははじめてだ。
ずいぶん前に、友だちとケンカしているのは見たことがある。
でも、こんなにも感情をあらわにしてはいなかった……。
自分がしたことが、ここまで、カナを怒らせるなんて。
「わたし、おじさまに、カナとわたしを同じクラスにしてって頼まないで、ってお願いしただけだよ」
「……オレが言ったことと、なにか、違ってた?」
カナは不機嫌そうに言う。
怖いよ、カナ。
わたしは生まれつき心臓が悪くて、身体が弱いから。
カナがわたしの身体を気づかって、ずっと同じクラスでいられるように、おじさまに頼んでいたことは知ってる。