13年目のやさしい願い
ありがたいって思うよ。
一緒のクラスで嬉しかったよ。
去年だって、カナに助けてもらったことは数知れない。
体育の時間に外で見学していて熱中症を起こしかけた時も、
校外学習のバスに酔って気分が悪くなった時も、
朝礼で貧血を起こした時も……、
何より、発作で倒れて死にかけた時も。
いつだって、カナは一番に気がついて、飛んできて、わたしを助けてくれた。
正直、助かったし、ありがたかった。
カナがいなかったら、
もしかしたら、わたし、
もうこの世にいなかったかもしれないって、
そう思うくらいで……。
「……でも」
カナの視線が怖い。
もう、何も言いたくなくなっちゃう。
何を言っても、カナの気持ちを踏みにじることになるような気がして。
でも、カナはわたしの言葉を待っていた。
「カナと違うクラスにしてなんて、……言ってないし」
カナがじとーっとわたしを見つめる。
……5秒、……10秒、カナは何も言わずに、わたしを見つめ続けた。
ねえ、カナ。沈黙が怖いよ。