13年目のやさしい願い

ありがたいって思うよ。

一緒のクラスで嬉しかったよ。

去年だって、カナに助けてもらったことは数知れない。



体育の時間に外で見学していて熱中症を起こしかけた時も、

校外学習のバスに酔って気分が悪くなった時も、

朝礼で貧血を起こした時も……、

何より、発作で倒れて死にかけた時も。



いつだって、カナは一番に気がついて、飛んできて、わたしを助けてくれた。

正直、助かったし、ありがたかった。



カナがいなかったら、

もしかしたら、わたし、

もうこの世にいなかったかもしれないって、

そう思うくらいで……。



「……でも」



カナの視線が怖い。

もう、何も言いたくなくなっちゃう。

何を言っても、カナの気持ちを踏みにじることになるような気がして。

でも、カナはわたしの言葉を待っていた。



「カナと違うクラスにしてなんて、……言ってないし」



カナがじとーっとわたしを見つめる。

……5秒、……10秒、カナは何も言わずに、わたしを見つめ続けた。



ねえ、カナ。沈黙が怖いよ。

< 13 / 423 >

この作品をシェア

pagetop