13年目のやさしい願い
でも、この足りている状態から、少しでもハルとの時間を減らしたくないんだ。
本当なら、もっと一緒にいたいんだ。
だけど、それがムリなのは分かっている。
未来を考えた時、この時間を減らさずにいるために、オレは何かをしないといけない気がしているんだ。
「贅沢だな」
裕也さんはまた笑った。
「そうかな?」
「贅沢だよ」
裕也さんの静かな笑顔。
引き寄せられるようにハルの寝顔に目をやった。
きっと、どれだけ一緒にいても足りないと思う。
それは、紛れもない本心だった。
だけど、オレの望みが贅沢だってことも、分かるんだ。
……隣の家に住んでいて、同じ学校で、同じ学年で、同じクラス。
毎日、朝から夕方までハルと過ごせる自分が、申し訳なく感じられて、
オレは何も言うことができなかった。