13年目のやさしい願い
「ん? どうした?」
急に黙り込んだオレを、裕也さんが不思議そうに見る。
「……や、オレ、これから、どうしようかなって迷ってて」
気がついたら、高校2年生。
そろそろ真面目に、進路も考えなくてはいけない。
大学まではいい。
だけど本来は、その先を考えて学部も決めるべきで……。
でも、オレはハルと一緒にいたいから、職業のために学部を選ぶのは、ぜったいにイヤで……。
「迷う?」
「そう。……どうやって、ずっとハルの側にいようかと」
裕也さんは笑った。
「隣の家に住んでいて、同い年で同じ学校に通っていて、病院は家から5分でいつでも来られる。十分だろ?」
「……足りない」
いや。
本当は、今は足りている。
ギリギリセーフで足りている。